2020東京五輪に思う
新型コロナウイルス感染症拡大の5波を受けて、千葉県はまん延防止等重点措置から3度目の緊急事態宣言の発出となりました。昨年延期となった東京五輪は今年、無観客の中で開催されました。異例の開催となり、選手たちはコンディション調整が大変であったかと思います。
東京五輪は千葉県でも開催されています。バブル方式の選手村で、世界から集まるアスリートへの感染に繋がらないかという心配の声も聞こえてきました。このような状況下、日本選手は史上最高58個のメダルを獲得しました。本校の卒業生2名も競泳で出場しましたが、メダルの獲得はなりませんでした。柔道では初の兄妹同日金メダルを獲得。女子レスリングでも姉妹で金メダルを獲得。卓球では東京五輪で初の種目となる混合ダブルスで金メダルを獲し、続くシングルスでは女子団体で銀メダル、男子団体で銅メダルとなりました。
その中、女子シングルスで初のメダル獲得をした選手は、試合後のインタビューで流した涙について聞かれると、「悔し涙です。」と応えていたのがとても印象的でした。それまではいつも試合を「楽しみたい。」と言っていました。そうはいっても国民の期待という重圧を感じながら試合をするということは精神的にも相当厳しいものであることは想像に難くありません。それを乗り越えてのメダル獲得に喜ぶどころか「悔し涙です。」ときっぱり言い切った姿に選手の並外れた上を目指す意識の高さを感じさせられました。勿論そう思えるだけの練習をし、自信もあったのだと思います。
アスリートは皆世界の頂点を目指して日々必死に練習してきたはずです。それでも優勝するのはトップに立った者だけです。しかしながらどのような結果であろうと目指すものに向かって一生懸命頑張る姿は、見る者に感動を与え、自然と応援したくなる感情を生むものです。
本校の生徒にも是非そのような体験をして欲しいと常に思っています。努力をした人がすべて報われるとは限りません。しかし努力しない人が報われることはありません。より高みを目指し、チャレンジし、一生懸命頑張るという経験こそが次の自分の自信につながるものだと思います。
そしてどんなに高い技術を習得しても、試合の展開に応じてプレーに生かす精神力がなければその技術を使うことはできません。高い技術(スキル)を身に付け、その上でそれを支える精神力(マインド)を育てることが重要であると思います。負ける(失敗する)体験から学ぶことは多いはずです。負ける(失敗する)ことを恐れず、困難に立ち向かい、最後まで諦めずにやり抜く力を養って欲しいと願っています。そのような力を身に付け、予測不能な未来を切り拓いていく人に成長して欲しいと切に願っています。