校長ブログ

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1冊の本は、人生を変えるかもしれない

今夏、「読書感想文SHODAI杯」という新企画が始まります。
ショート部門は読んだ本から「ワタシの1行」を選び、100~400字の短い文章を添えるもの。ロング部門は通常の読書感想文2000字に挑戦してもらいます。
いずれも優秀作は表彰したうえで、外部のコンクールにも応募します。
保護者会のご厚意で、参加賞に図書券がもらえる太っ腹な企画です。

ショート部門の本は新潮文庫の「高校生に読んでほしい50冊 2025」から選びます。

新潮社「高校生に読んでほしい50冊 2025」


実は「50冊」には、拙著『おカネの教室』が含まれています。
光栄ではありますが、正直、ラインアップには「いや、私の本より、先にこっちを読んだ方がいいんじゃないか……」という古今東西の名作がずらりと並んでいます。さすが新潮文庫。

新企画は、生徒たちに「とにかく1冊、本を読んでほしい」という司書のH先生と私の願いから始まっています。
1学期のはじめにも「何か目標を持とう。目標がない人は、ひとまず、『1冊、本を読んでみる』を目標にしてみたら」という話を生徒たちにしました。

我が校には素晴らしい図書室があります。
これまでに3回ほど、隅から隅まで1~2時間かけて棚を見て回ったことがあります。
「これ、あるのか!」とうれしくなるような私の愛読書から、「これ、読みたかったんだよね!」という愛読書候補まで、本当にラインアップが充実しています。
その気になれば、必ず「あなたのための1冊」がみつかる図書室です。
なのですが。
残念ながら、常連さんと自習する生徒以外、利用は低調なのです。
H先生によると、大学生になって本を読むようになってから来校して、「こんなにいい本がそろっていたなんて、知らなかった」と後悔する卒業生もいるそうです。
とてももったいない。
1冊の本との出会いは、あなたの人生を変える力を持っています。私自身を振り返っても、そんな本が何冊も思い浮かびます。
新企画がそんな出会いのきっかけになると良いな、と願っています。

それを後押しするため、きょうは「50冊」の中からいくつか、普段は本を読まない生徒でも絶対に楽しめるオススメを紹介します。
なお「校長先生の本を読んでみようか」という奇特な生徒には自著をプレゼントしています。早速きょう校長室まで受け取りにきた生徒がいました。楽しんでね。

では、新潮社の冊子の紹介順に。

『博士の愛した数式』小川洋子

超メジャータイトルとなった「本屋大賞」の第1作、だったんですね。いま、冊子で知りました。
記憶が80分しかもたない数学博士と、家政婦さんと、その息子の交流の物語。小川洋子さんの文章は、美しくて、読みやすい。私は2回読みました。

『夜のピクニック』恩田陸

夜を徹して80キロを歩きとおす、高校の伝統行事のお話。
これも「本屋大賞」をとってますね。納得の傑作。我が家では『夜ピク』の愛称で、娘たち(私は三姉妹の父です)も愛読しています。
私、青春ものに弱いので、3回は読んでます。今年も読もうかな。

『受験脳の作り方』池谷裕二

池谷さんの本は、100%、当たりです。新作が出れば買う著者。
これはストレートに学力向上につながるタイプですけど、脳や人間の知性の不思議さに触れる読み物としても最高。
続けて『単純な脳、複雑な私』といった高校生向け講義シリーズに行ってほしい。

『おカネの教室』

不朽の名作。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ

「イギリスでも、日本でも、ティーンエイジャーの悩みって似ているんだな」と思うと同時に「こんな社会もあるのか」と日本との違いへの驚きにも満ちています。
「ぼく」とパンクな母ちゃん(著者)に共感したら、最後まで飽きずに一気読み、です。

『月の影 影の海』小野不由美

未完の大作シリーズ『十二国記』の第1作。
これは、娘に「とにかく読め」と激しくすすめられて読んで、ハマりました。
異世界転生のアニメ・漫画やゲーム、ファンタジーが好きなら、絶対、おもしろいはず。

『精霊の守り人』上橋菜穂子

上橋さんも打率10割の書き手です。『守り人』シリーズ1作目ですけど、単独の作品として完結しているのでご安心を。ちなみに2作目の『闇の守り人』が一番好きです。
バルサという短槍使いの女用心棒がかっこよすぎる。
上橋さんはとにかく読みやすくて、アクションシーンの描写がうまいので、絵が頭にうかびます。
この本は2回読んでいて、アニメのDVDまで持ってます。『獣の奏者』は4~5回読んだな。

『李陵・山月記』中島敦

教科書で『山月記』は読んだ人が多いのかな?
この本は、ぜひ全編、音読してみてほしいですね。気持ちいいから。
難しい語句は気にせず飛ばして読んじゃっても、リズムで意味が分かるから、不思議。
これは、もう、何回読んだか、わかりません。

以上、ハードルが低いもの、あるいはハマりやすいものをご紹介しました。
もちろん、他の作品も、選りすぐりの傑作です。

私が読んだことがあるのは半分くらいですが、紹介から漏れているものも、どれも「読んでよかった」と断言できるものばかり。
未読の半分の中から、いくつか選んで読んでみようかな。

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