私立 千葉商科大学付属高等学校  シラバス

理科 「物理(2年普通科特進選抜理コース)」  単 位 数 3 単 位
学科・学年・組
普通科・2年・F組

1 学習の目標,評価の観点,内容及び評価方法

学習の目標
・日常生活や社会との関連を図りながら,自然現象について理解するとともに,
科学的に探究するために必要な基本的な知識を身につける。
・実験などを通して,科学的に探究する力を養う。
・自然現象に主体的に関わり,科学的に探究しようとする態度を養う。
・一般選抜に対応できる学力を身につける。

育成する資質能力
「思考力」「判断力」「表現力」
学校ルーブリック項目
「向上心」「自律」「自己肯定感」「友愛」「創造性」「社会貢献」
「思考力」「判断力」「表現力」「人間関係力」

評価の
観点
知識・技能 思考・判断・表現 主体的に学習に
取り組む態度
評価の
内容
実験などを通して,物理量の測定と扱
い方,物理の原理・法則について理解
しているとともに,科学的に探究する
ために必要な基本的な知識を身につけ
ているか。
物理について,問題を見いだし見通し
をもって観察,実験などを行い,科学
的に考察し表現しているか。
物理に関する事物・現象に主体的に関
わり,見通しをもったり振り返ったり
するなど,科学的に探究しようとして
いるか。
評価
方法
・定期考査
・定期考査
・提出物など
・授業への姿勢
・提出物など
配分
60%
20%
20%

2 学習計画・使用教材

学期 学 習 内 容 学 習 の ね ら い 備考(特記事項,
他教科との関連など)



第1編 力と運動(第1巻)
 第1章 運動の表し方
 1.速度
  2.加速度
  3.落体の運動






 第2章 運動の法則
 1.力とそのはたらき
 2.力のつりあい
 3.運動の法則
 4.摩擦を受ける運動
 5.液体や気体から受ける力
 6.剛体にはたらく力のつりあい
























 第3章 仕事と力学的エネルギー
 1.仕事
 2.運動エネルギー
 3.位置エネルギー
 4.力学的エネルギーの保存





 第4章 運動量の保存
 1.運動量と力積
 2.運動量保存則
 3.反発係数
















 第5章 円運動と万有引力
 1.等速円運動
 2.慣性力
 3.単振動
 4.万有引力

・平面運動での速度の合成や相対速度に
ついて理解します。
・平面運動における加速度のベクトルを
用いた扱いについて理解します。
・放物運動における速度ベクトルを水平
成分と鉛直成分とに分解し,定量的に理
解します。




・どのようなときに摩擦力が生じるの
か,また最大摩擦力(動摩擦力)の大き
さが面の状態を表す静止摩擦係数(動摩
擦係数)と垂直抗力の積で表されること
を確認します。
・液体や気体の中では物体は圧力を受け
ることや,圧力の式とその単位について
確認する。空気中を落下する物体には,
速度に応じた空気抵抗がはたらくことを
理解します。
・剛体にはたらく力の効果は,力の大き
さと向きのほかに,作用線の位置により
決まることを理解します。
・剛体にはたらく力がつりあうために
は,剛体が並進運動と回転運動をし始め
ないという条件が必要なことを実験をも
とに理解します。
・剛体にはたらく力の合力をさまざまな
場合に応じて求められるようにする。ま
た,偶力は剛体を回転させ始めるはたら
きだけをもつ量であることを理解しま
す。
・偶力のモーメントはどの点を軸として
も同じ値になることも理解します。
・重心の位置を求められるようにする。
剛体の傾く条件と転倒する条件を理解し
ます。




・力学的エネルギー保存則や,それが成
りたつ条件について確認します。








・次のような順序で授業展開し,理解し
ます。
1.2物体の一直線上の衝突について,運
動量と力積の関係を用いて運動量保存則
が導かれる
こと。
2.斜めの衝突の場合でも,運動量が保
存されること。
3.物体の分裂の場合にも運動量保存則
が成りたつこと。
・反発係数は衝突直後と直前における2
物体の相対速度の大きさの比で表される
ことを理解します。
・弾性衝突のときは,力学的エネルギー
が保存され,非弾性衝突では,力学的エ
ネルギーが減少することを理解します。




・等速円運動における円周にそった物体
の速さ,角速度,回転数,周期などの量
の定義,およびこれらの間に成りたつ関
係を学習します。
・円運動している物体の速度の方向は,
その瞬間の物体の位置を接点とする接線
方向であることを理解します。
・等速円運動をする物体の加速度の向き
は,物体から円の中心に向かう向きであ
ることを理解します。
・等速円運動をする物体にはたらく力の
向きが円の中心を向くことを理解しま
す。また,等速円運動をする物体の加速
度やはたらく力の大きさについても理解
します。
・ある物体を異なる立場(座標系)で観
測するときには,異なった運動が観測さ
れ,異なった式が立てられる場合がある
ことを認識します。遠心力は慣性力の一
種であることを把握します。
・等速円運動をする物体の直径方向への
正射影が単振動であることを理解しま
す。
・物体にはたらく力が,常に振動の中心
へ向かって引き戻す向きであり,その大
きさが振動の中心からの距離に比例する
とき,物体の運動は単振動であることを
理解します。
・ケプラーの法則と運動方程式とから万
有引力の公式が得られることを,惑星の
運動を等速円運動とみなした場合につい
て導きだす過程を示す中で理解します。
また,重力と万有引力との関係
も理解させる。
・万有引力を受けて運動する物体の力学
的エネルギーが保存されること,および
このことを用いて第二宇宙速度を導出し
ます。

中間考査









































期末考査



第2編 熱と気体(第1巻)
 第1章 熱と物質
 1.熱と物質の状態
 2.熱と仕事


















 第2章 気体のエネルギーと状態変化
 1.気体の法則
 2.気体分子の運動
 3.気体の状態変化
 4.エネルギーの移り変わり


























第3編 波(第2巻)
 第1章 波の性質
 1.波と媒質の運動
 2.正弦波の式
 3.波の伝わり方








 第2章 音
 1.音の伝わり方
 2.発音体の振動と共振・共鳴
 3.音のドップラー効果



 第3章 光
 1.光の性質
 2.レンズと鏡
 3.光の干渉と回折
・温度は,原子や分子の熱運動の激しさ
を示すものであり,熱運動が停止すると
きの温度を0とする絶対温度について理
解します。
・絶対温度とセルシウス温度との関係を
与え,温度差に関してはどちらの単位を
用いても同じであることを理解します。
・熱の移動がエネルギーの移動であるこ
とから,熱がエネルギーの一形態である
ことを理解します。また,熱平衡,熱の
移動,熱量,および,これらの関係につ
いても理解します。
・熱容量や比熱の定義を理解させたうえ
で,温度を変化させるのに必要な熱量
を,熱容量や比熱を用いて表すことがで
きるようにします。また,外部との熱の
やりとりがない場合,熱量が保存される
ことを理解します。




・ボイル・シャルルの法則から,理想気
体の状態方程式が得られることを示しま
す。
・気体分子の運動を力学的に扱って気体
の圧力を表す式を導きます。この式と理
想気体の状態方程式とから,気体分子の
平均運動エネルギーが絶対温度に比例す
ることを導きます。
・平均運動エネルギーと絶対温度の関係
式から,内部エネルギーが絶対温度に比
例することを理解します。
・熱現象をも含めたエネルギー保存則と
して熱力学第一法則を扱い,気体の状態
変化における熱,仕事及び内部エネルギ
ーの関係を理解します。
・熱力学第一法則の式を用いて,定積変
化,定圧変化,等温変化,断熱変化を理
解します。関連して,自然界のエネルギ
ーの変換では不可逆変化が伴うことを示
し,サイクルの熱効率や熱力学第二法則
にも触れます。
・あらゆる自然現象におけるエネルギー
の変換では,それに関係した全てのエネ
ルギーの和は一定に保たれることを理解
します。




・波源が単振動をするとき,その振動が
周囲の媒質に伝わると正弦波が生じるこ
とを理解します。また,媒質に波が伝わ
る時間を考慮して,原点での単振動の式
をもとにして正弦波の一般式を正しくつ
くれるようになります。
波面の進み方はホイヘンスの原理によっ
て説明され,この原理から反射・屈折の
法則を導くことができることを示しま
す。





音源が動く場合には,観測者の運動に関
係なく波長が変化することを理解しま
す。




・1つの波長だけからなる光が単色光,
いろいろな波長の光を含み色あいを感じ
ない光が白色光であることを理解しま
す。
・光にも反射・屈折の法則が成りたつこ
とを理解し,みかけの深さや全反射につ
いて,その機構をしっかりと理解しま
す。
・屈折率は光の波長が短いほど大きいの
で,白色光はプリズムによって分散され
ることを理解します。スペクトルには連
続スペクトルと線スペクトルがあること
を確認します。
・散乱では波長(色)と散乱の関係につ
いて定性的にふれ,晴れた日の空の色が
青になる理由についても触れます。
・凸レンズや凹レンズを通過する光線の
中で,代表的な次の3つの光線について
説明する。
(1)光軸に平行に,レンズへ向かって
進む光線
(2)レンズの中心に向かう光線
(3)焦点を通過後,レンズに向かう光
線(凸レンズ),レンズ後方の焦点に向
かう光線(凹レンズ)
・レンズがつくる像を図および実験を通
して理解します。また,写像公式との関
係を理解させる。球面鏡がつくる像は,
レンズの場合と似た手順で求められるこ
とを示し,像の作図方法,写像公式を理
解します。
・ヤングの実験において,明線,暗線の
式が導かれ,この式から隣りあう明線
(暗線)の間隔も求めます。
中間考査



















































期末考査



第4編 電気と磁気(第2巻)
 第1章 電場
 1.静電気力
 2.電場
 3.電位
 4.物質と電場
  5.コンデンサー


































 第2章 電流
 1.オームの法則
 2.直流回路
 3.半導体
















 第3章 電流と磁場
 1.磁場
 2.電流のつくる磁場
 3.電流が磁場から受ける力
 4.ローレンツ力

























 第4章 電磁誘導と電磁波
 1.電磁誘導の法則
 2.自己誘導と相互誘導
 3.交流の発生
 4.交流回路
 5.電磁波































第5編 原子(第2巻)
 第1章 電子と光
 1.電子
 2.光の粒子性
 3.X線
 4.粒子の波動性
















 第2章 原子と原子核
 1.原子の構造とエネルギー準位
 2.原子核
 3.放射線とその性質
 4.核反応と核エネルギー
 5.素粒子


















物理学が築く未来
・帯電は電子の過不足によって起こり,
電気現象は電子が主役であることをはっ
きり認識します。
同種の電気どうしは反発し,異種の電気
どうしは引きあうこと,およびその力の
大きさについてのクーロンの法則を理解
します。
・電荷のまわりにできる電場は,試験電
荷にはたらく静電気力の大きさと向きに
より定まるベクトルであることを理解し
ます。また,電場のようすは電気力線に
よって表されることを理解します。
・試験電荷がもつ,静電気力による位置
エネルギーが電位であることを理解しま
す。電場と電位との関係を理解させ,等
電位面は電気力線と直交することを認識
します。
・電場の中に物体を置くとき,物体の表
面には電荷が現れるが,物体が導体か不
導体かにより,現象が異なることを理解
します。電場の中に置かれた導体内には
電場がなく,導体全体が等電位となるこ
とを理解します。
・導電場と電位,電場内に置かれた導体
や不導体のふるまいなど,既習事項と関
連させながらコンデンサーを理解しま
す。
・一様な電場内の電場と電位差との関係
などから,コンデンサーの極板に蓄えら
れる電気量が電位差に比例することが導
かれることを示し,電気容量を理解しま
す。また極板間に挿入された誘電体のは
たらき,および誘電率,比誘電率を理解
します。さらにコンデンサ―の接続につ
いても理解します。





・電流の向きと電流の大きさについて理
解します。また,導体を流れる電流の大
きさが電圧に比例することを示し,電気
抵抗を理解します。さらに,導体の抵抗
率は,温度上昇に伴い大きくなる
ことを理解します。
・電流や電圧の意味を確認しながらキル
ヒホッフの法則をきちんと理解します。
起電力・端子電圧・電池の内部抵抗の意
味を実験を踏まえて理解し,それらの間
にある関係式を把握します。
・抵抗率が導体と不導体の中間にある半
導体について,電流が流れるしくみや特
徴を理解します。また,半導体ダイオー
ドの原理や整流作用について示し,トラ
ンジスターにもふれます。




・磁石の性質を示し,点電荷のつくる電
場と対比させながら,磁場について定義
をし,さらに磁力線のについて理解しま
す。磁場の中に置かれた物体が磁化する
こと,および磁性体について学習しま
す。
・直線電流が周囲につくる磁場,円形電
流が円の中心につくる磁場,ソレノイド
がその内部につくる磁場について,各場
合の電流・磁場の関係を理解します。
・電流が磁場から受ける力について理解
し,その力の向きをしっかりと把握しま
す。電流が磁場から受ける力の大きさ
は,周囲の物体の「透磁率」の大小と関
係があることを理解します。また,平
行電流が及ぼしあう力についてその向き
と大きさとを理解します。
・電流が磁場から受ける力を微視的に考
察し,運動する荷電粒子が磁場から受け
る力(ローレンツ力)について理解しま
す。一様な磁場内での荷電粒子の運動が
等速円運動やらせん運動になること,ま
たこのことを応用した例であるサイクロ
トロン,シンクロトロンについてふれま
す。




・磁場を横切る導線に生じる誘導起電力
について理解します。その際,ファラデ
ーの電磁誘導の法則,エネルギーの移り
変わり,磁場によるローレンツ力など,
異なる面から考えます。また,渦電流に
ついてもふれ,電磁調理器などの利用例
を扱い,電磁誘導についての関心を高め
ます。
・コイルに流れる電流が変化すると誘導
起電力が生じ,その大きさは電流の変化
の速さに比例することを理解します。電
流の流れているコイルには,磁場の形で
エネルギーが蓄えられていることを把握
します。
・抵抗に直列につないだコイルやコンデ
ンサーに加わる電圧の位相について,実
験を通して理解します。コイルやコンデ
ンサーのリアクタンスを理解し,交流は
周波数が大きいほどコイルに電流が流れ
にくくなり,コンデンサーはその逆で流
れやすいことを理解します。
・共振の項目では,まず電気における共
振現象とは何かを理解し,「共振回路」
およびそのときの「共振周波数」などを
定義し理解します。次に電気振動の項目
で,振動が生じる理由とそのときの固有
周波数が共振周波数と一致することを学
習します。
・電磁波の発生のしくみについては,
「磁場が変化する→空間に電場が生じ
る」,「電場が変化する→空間に磁場が
生じる」ことを理解します。



・真空放電の実験から,陰極線の性質を
理解し,またその性質から陰極線の本体
が電子であることを理解します。
・トムソンの実験とミリカンの実験とか
ら,電子の比電荷,電荷,質量の各値が
どのように得られたかを理解します。
・X線の波動性から結晶構造をX線回折に
よって解析できることを理解し,また,
その原理を把握します。
・コンプトン効果により,光子が運動量
をもつことを示します。その際に立てた
エネルギー保存,運動量保存の式が理解
できるようになります。
・光の粒子性と対比しながら,電子に波
動性があることを理解します。エネルギ
ー保存則により,加速された電子に伴う
電子の波長が求められることを理解しま
す。電子が波動性を示すことを利用して
電子顕微鏡が作られたことも扱います。




・ラザフォードの原子模型から,どのよ
うな実験によりこの原子模型が正しいと
判断したのかを理解します。
・水素の気体の発するスペクトル中のバ
ルマー系列の波長を求める式を示しま
す。水素原子のエネルギー準位を理解し
ます。 
・原子核が陽子と中性子とからなるこ
と,また核力,同位体について理解しま
す。また原子の世界では陽子,中性子,
電子などの質量がきわめて小さいので,
統一原子質量単位を用いることを理解
します。
・α崩壊とβ崩壊を行うと原子核の質量
数や原子番号がどのように変化するかを
理解します。また半減期について理解し
ます。
・α粒子と空気中の窒素原子核との衝突
により,原子核反応が生じていることに
ふれ,原子核反応の前後で質量数の和と
原子番号の和はそれぞれ変わらないこと
を理解します。
・質量欠損,結合エネルギーの定義(意
味)を正しく理解します。結合エネルギ
ーのところでは,原子核の「壊れにく
さ」が「核子1個当たりの結合エネルギ
ー」によって表されることを理解しま
す。
・自然の階層性について説明し,素粒子
とは何かを把握させ,素粒子をハドロ
ン,レプトン,ゲージ粒子の3種類に分
類し,このうちハドロンはさらにバリオ
ンと中間子に分類され,このハドロンに
属する陽子,中性子,π中間子などはよ
り基本的な粒子であるクォークから構成
されていることを理解します。


・これまでの学習内容が,現在における
最先端の研究や産業などの基盤となって
いることを,具体例を通して理解しま
す。

学年末考査

使用教科書
数研出版「総合物理1 -力と運動・熱-」「総合物理2 -波・電気と磁
気・原子-」
副教材
数研出版「リードα」

3 担当者からのメッセージ

確かな学力を身に付
けるためのアドバイス
「なぜ?」という疑問が解決したときに,物理の一番の楽しさがあります。あらゆる事
物・現象に疑問を持ち,楽しみながら学習を進めていきましょう。
授業を受けるに当た
って守ってほしい事項
以下の3点に留意してください。
・必要なものを毎時間きちんと揃える
・授業への積極的な参加を心がける
・わからないことが出てきたら,質問するなどして解決する
その他のアドバイス
物理の授業を通じて科学的に物事を捉えることの大切さを学び,その科学的思考力を将来
に役立ててもらえたらと思います。